最近、ふとした瞬間に「私も年をとったな」と感じることがあります。
利用者さんやご家族とお話していても、「親の高齢化」という言葉が、
かつてよりずっと身近に響くようになりました。
私たちが支えてきた方々の”親世代”も、今や支援を必要とする立場に
なりつつあります。つまり、福祉の現場は「利用者本人」だけでなく、
「家族の高齢化」という新しい課題に向き合う時代に入っています。
これからの福祉は、「支える人」と「支えられる人」を分けて考える
ものではありません。お互いに助け合い、共に生きる――そんな”共生”
のかたちが求められています。障がいがある方も、高齢の方も、子どもたち
も、それぞれが地域の中で自分の役割を持ち、自然につながりながら
暮らしていける社会。私はそれを「これからの福祉」の理想の姿だと
思っています。
時津町における<エリア21>の取り組みも、その理想を形にしたものです。
地域に開かれた拠点として、誰もが気軽に立ち寄り、支え合える場所
でありたい。利用者も、ご家族も、地域の方々も、ここで出会い、語り合い
笑顔になれる――そんな空間をめざしています。
思えば若い頃は、ただ「支援すること」に夢中でした。けれど今は、
福祉とは”人と人との関係そのものを育てること”だと感じています。
年を重ねた今だからこそ見えてくるものがあります。
制度や効率ではなく、やはり”人の温かさ”こそが福祉の原点なのです。
これからも、時津町という地域の中で、エリア21を拠点に、
共に生きる社会をつくっていきたいと思います。
少しずつでも、確実に、そして、人生の先輩として、まだまだ
「ロマン」を語り続けていきたい――そんな気持ちで、今日も
現場に立っています。
令和7年11月
社会福祉法人 時津町手をつなぐ育成会
理事長 山内俊一